早期の梅雨明け、今年の初出荷は?

梅雨明け=収穫開始?

今年は史上最速の梅雨明けとなりました。白井市内でも30℃台後半の猛暑が何日も計測され、一足早く夏本番になってしまったようです。

「梅雨が明けたら梨の季節!」
…と思いがちですが、まだナシはピンポン玉大の大きさで、まだとても食べられません。
樹を見てもまだ果実が成っているのがわかりにくいです。

例年なら梅雨明けは7月下旬です。
確かにその頃には梨の果実は十分に育ち収穫目前となっています。
ただ、今年の場合は一ヶ月前倒しの6月下旬です。

いくら梅雨明けが早くて、暑さも前倒しになっても、人間と違って植物はマイペース。
以前もご紹介したとおり、梨は満開から約110日間かけて枝葉と果実を育ててから収穫・出荷となります(幸水の場合)。
人間が梨を食べたいからといって慌てて果実が大きくなったりはしません(笑)。

本年の白井市内の平均の幸水満開日は4月13日、110日後は8月2日です。
今後の気候次第で4~5日程度は前後しますが、2~3週も早まったり遅くなることはありません。
中央選果場の稼働開始も7月最終週を予定しているそうです。
本年もご購入を予定している方は、8月上旬を目安に考えておくといいでしょう。

ただし市内でも満開日に差があり、栽培方法によっても収穫時期が前後します。
また収穫開始日になると一気に果実が収穫できるわけでもありません。
販売の詳細については一度ご利用の直売所等にご確認ください。
こちらのサイトでも各地域の市場出荷の目処が立ちましたらお知らせいたします。

水やりで果実を大きく

さて、そんなわけで梨はまだまだ育ち盛り。
ですが梅雨明けしてしまったため、育つために必要な水分が補給されません。
加えて連日の猛暑ですから、土の水分はどんどん乾燥してしまいます。

そんなことを思いながら、梨畑の近くを歩いていると「サァーーー」という水が流れているような音が…。
園内を覗き込んでみると黒いチューブから水が流れています。
「それば『かん水チューブ』。小さな穴がたくさん空いていて、そこから水が吹き出すんだ」
あとで別の梨農家さんに伺うとその正体がわかりました。

なるほど長く伸びたチューブの側面から水が横に飛び出しています。一箇所あたり4時間程度水を流しっぱなしにするそうです。
その他にスプリンクラーを散布したり、スプレーヤーで水を積んで撒いたりと、各園の設備によってやり方は様々なようです。

収穫前に水を上げると糖度が下がってしまうという話を聞きますが、そのへんは問題ないか聞いてみると、

「それは果実がもう十分な大きさまで育った、収穫直前の話だよ。確かに梅雨が8月まで明けなかったときは果実の糖度が落ちた。でも今は7月上旬で、本来はまだ梅雨だろ? 梨の木が水を欲しがっている時期。今水をあげなきゃ果実が大きくならない」
と教えてくれました。

植物の生長に合わせて管理の仕方も変えなければいかないんですね。
当たり前のことですが、私自身も世間一般のイメージで梨のことを考えてしまっているなあ、とちょっと反省しました。

気候が大きく変わってしまうと、通常ならやらなくてもいい手間が色々と増えてしまいますね。
あらためて農業が自然と共にある産業なんだ…ということを感じた猛烈に暑い初夏の日でした。

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