橋本梨園さんの声

橋本梨園の橋本さん

白井市の根で梨農園を営む橋本さん。
白井市梨業組合研究部副部長、しろい梨PR委員会代表(2018年現在)。
梨農家の若手世代で、積極的にSNSの活用やインターネット販売などを行なっています。
お客様への買いやすさを求めるだけでなく、生産者の効率化や新たなチャレンジといった働き方改革を推進しています。

— 梨の栽培をこの地で始めたのはいつ頃ですか?

橋本さん
祖父の時代からなので、1950年代、昭和30年代からなので60年前くらいです。
私の父が生まれたくらいに梨の苗木を植え始めたと聞いています。
それまでは野菜も作っていたし、栗の木とかも作っていたと言っていましたね。
その中で梨も栽培していた一つだったのですが、徐々に産地化するにつれて梨の銘柄も増えていき、父親が継いだ時には完全に梨農家になるという事で、他の作物の面積を減らしていって梨を単作にし、梨の専業農家になりました。
インタビュアー
橋本さんが梨に携わるようになったのは?
橋本さん
今年で11年目になりました。
最初はサラリーマンをやっていましたが、梨農家をやるぞと思って戻って来た。
流れで始まった感じはあります(笑)
インタビュアー
梨農家になるきっかけはあったのですか?
橋本さん
元々農業はやるのかな、という前提はありました。
大学も農学部を卒業し、サラリーマン時代も農業関係の仕事をしていました。
その後、フリーランスでライターをしていたのですが、そういう仕事をしていく中でインタビューの中で農業法人に行ったり、取材先が農業関係が多くて農業ライターなんて言ってたのもあり、農業に関して可能性を見出している人と関わることが多かったです。
これからもっと農業は良くなる、もっとこうすれば農業はもっと面白くなる、もっと生活が豊かになる、といった話を聞いていたら自分の所でもやり方次第でもっと面白い仕事になるんじゃないかなと思ってて、徐々に梨の仕事に深く携わっていく中で栽培なんかも面白く感じるようになりました。気づいたらライターの仕事もセーブしちゃってましたね(笑)

橋本梨園の橋本さん

サラリーマン、ライターを経て梨農家になった橋本さん。

— 今後、チャレンジしたい事などはありますか?

橋本さん
いっぱいありますね。
まず畑のフォーマットを整えたいです。
畑に行って見るとわかるのですが、祖父の時代からやっていた木の形がそのまま残っているので色んな管理が必要な状態なんです。
それこそジョイント栽培や二本主枝栽培など、作業動線がシンプルなもので樹形を作って行って作業効率化を図っていきたい。
それを基本の畑の形にしていく事でプロにしかできないといった作業工程を極力無くしていければと思っています。
それだけ梨の栽培って難しすぎるので、もっとシンプルに単純にしていき【要】の作業は私たち生産者が行い、簡単な作業は先ほどでたようなアウトソーシングやパートさんに任せるといった形にできないものかと模索しています。
まさしく最近話題になっている【働き方改革】ではないですけど、農業の土台の部分の改革をしたいと思っています。
時間はかかりますが、私たちの代で仕組みごと変えていきたいと思っています。
インタビュアー
そういった声は若手の農家さんの間で広がっていっているのですか?
橋本さん
ええ、広まってますね。
そういった考えの象徴の一つがが、育苗(いくびょう)センターです。
育苗センターではどーっと大きな苗を施設で育成して作った木を畑にもってくることでコストや時間を削減したりするのを可能になりました。
木の若返りをしつつ、生産者の若返りを図る重要な拠点となっています。
市としても取り組んでいますし、県の方での方針も定まっていて追い風が吹いています。
若い人が入っても技術などの問題で困ることがなくなるように技術をシェアしていきながら生産者も成長していく事も可能ですし、そういった問題を解決していくことで反面積当たりの収穫量を増やす事ができれば収益化を図っていけるようになります。
これは千葉県としての農業の働き方改革に繋がる大事な取り組みです。
こういった声を我々若手が積極的に取り組んでいき広めていってます。
今までアナログ一辺倒だった作業を効率化していくことで生まれる時間で新たな事にチャレンジできますしね。
新しい場所に勉強しにいったり、市内にいる多くの人と話をすることもできますよね。

私の一番チャレンジしたいことは働き方改革です。
まずは今やっている当たり前の事を当たり前にせずに効率化していき、余剰の時間で新しいことにチャレンジしていきたいと思っています。
バックオフィス業務の効率化も課題だったりします。
毎年毎年、莫大なデータベースが蓄積されるわけでそういったデータも今後活用できればと思っています。

橋本梨園のジョイント栽培

橋本梨園で橋本さんが新たに取り入れているジョイント栽培。
樹と樹をつなげる方式で作業効率化を図ります。

— 梨農家をやっていて一番大変だったことは何ですか?

橋本さん
直売の時期はやる事が多いので大変ですね。
朝に梨を収穫・選別・店頭に並べて・接客・配送事務作業・電話対応などもあります。
梨の収穫量も1日1日全く違うので収穫量を把握しながら、配送に数量を分配したりなどの調整もしなければなりませんので結構辛い時があります。
インタビュアー
それだけの作業をこなしながら、橋本梨園さんではインターネット販売(https://hashimoto-nashien.com/)もやっていますよね。
橋本さん
そうですね。
世の中ではインターネット販売は普通ですが、梨農家の間では普通ではなかったりします。
作業量の前にインターネット販売をする環境が整っていないケースがほとんどですね。
よく梨農家の知り合いからは『橋本さんネットショップやりたいんだけど』といった相談は受けるので、できるだけ協力をしたいと思っていますが、サイトの管理からメール対応、在庫管理までの作業を考えると実際にインターネット販売をするまでには大きな壁を越えなければなりません。
何かあったら信頼を失うことにもなりかねませんし。。
できるんだったらやったほうがいいけど、そういうリスクがあるという事も含めてアドバイスするようにしています。

橋本梨園の橋本さん

白井市でいち早くインターネット販売を始めた橋本さん。
他の梨農家さんから相談を受けることも多々あります。

— インターネット販売を導入してみて、現状はどうですか?

橋本さん
デメリットの話ばかりしましたが、実際にインターネット販売を導入してみてのメリットもたくさんあるんです。

私が梨農家として始めた頃は橋本梨園では、今ではほとんどやっていない市場出荷をやっていたんです。
直売の仕事をした後に市場の出荷の仕事をやっていると0時過ぎになる事もザラにありましたが、その頃はとても辛かったです。
そこで私たちでは直売に重点を置いて販売していくことに決めました。
それによって店頭販売とインターネット販売の二つの販路を強化していったことで、直売の作業だけに注力することが可能になりました。

今はFAXがない家もありますし、固定電話を持たないで携帯電話だけの世帯も増えてきているのでそういった消費者のニーズに販売元が対応していくのも我々の使命だと思っています。
そもそも繁忙期には電話が出られない事も多々ありますしね。
その点メールなら手が空いた時に確認できるので、非常に助かってます。

インタビュアー
橋本梨園さんでは店頭販売とインターネット販売の比率は変わってきていますか?
橋本さん
そうですね、まだまだ店頭販売がほとんどなんですけれど、年々インターネット販売の比率が増えてきています。
梨を購入していただいた方がSNSやブログなどで紹介していただいたりするケースも増えてきており、年を重ねるごとに段々とインターネットでの購入が増えています。
去年グッとインターネット経由での販売量が増えて、店頭販売用の梨を確保するためにネット注文をストップした日もあったくらいです。

最近増えてきているのが一度、直売所に足を運んでいただいて購入してから次からはネットで購入するといったケースです。
一度買って安心していただけた証拠ですよね。
今後はこういった消費行動をする方も更に増えていくだろうと予測しています。

インタビュアー
なるほど。
消費者の消費行動が変化してきているわけですね。
橋本さん
今までとは違ってメディアやSNSなどで梨園を知ってもらっていたりするので、一回来て実際に店舗を見て一度梨を購入するだけで次回からはインターネットで購入すればいい、という認識もあるのでしょう。
そういった合理的な発想の若い方で当園の梨を購入してくれる方が年々増えてきています。
私も梨の生産者となってから11年目ですが、最初の1年目しか会ってない方もいますからね。

橋本梨園の小次郎

橋本さんの愛犬「小次郎」、SNSで密かに人気のマスコットキャラクター!
わざわざ小次郎に会いに来てくれるお客様も。

— 梨農家をしていて、どういう瞬間が良かったと思いますか?

橋本さん
まず一番にお客様に美味しいと言っていただける事です。
後は自分の裁量で全ての事ができる事ですかね。
会社という組織に属しているのとは違って、自分の考えを実行しやすい環境ではあります。
フリーランスでライターをやっているのもそういう環境だったので、自由に動けて楽しいなという感じはあります。
後は、やはり自然相手ですがら、思い通りにいかない事も楽しく感じている部分はあります。
インタビュアー
だからこそ、しっかりとした梨が出来上がった時の喜びは人一倍ありますよね。
橋本さん
このインタビューで話をしてみて思いましたが、結構マゾっけがありますね(笑)
大変な事でも楽しそうに話をするって梨農家仲間にも言われたりしますから。
自然環境の中で左右されながらも、やっぱり上手な梨農家さんは安定した梨を作り続けていますよ。
大変な環境でもしっかりと仕組み作りと技術の継承をできるように日々美味しい梨作りに尽力しています。
…結構梨作り面白いんですよね。
収穫の時は本当に大変ですが、梨作り自体は仕事として面白いと私は思っています。
インタビュアー
大変だからこそ、その中に楽しさがある。
橋本さん
大変な事が好きなのかもしれません(笑)

橋本梨園の小次郎

可愛い我が子のように梨の木を見守る橋本さん。
大変でも育てがいがあります。

— 橋本さんのお気に入りの1本

橋本さんのお気に入りの1本

橋本梨園で30年以上、梨を実らせてきた歴史ある1本。
この梨の木には、橋本梨園代々の想いが詰まっています。

— 橋本さんのオススメの梨の食べ方・好きな品種

橋本さんが1番好きな梨は【豊水】。
豊水は幸水と違って酸味がある分、口の中で味が濃く感じられるんだそう。
農作業で疲れている体に、ジューシーな豊水の果汁が染みわたっていくのがお気に入りのようです。

梨には色々な調理方法がありますが、やっぱり冷やしてそのまま食べるのが一番良いと橋本さん。
美味しい食べ方は、食べる前に少し冷蔵庫で冷やしておくこと。

— 橋本さんの梨を購入できる場所(2017年)

千葉県白井市の直売所まで来るのは遠いという方は、下記のお店でも橋本梨園の梨を購入できます。

『三茶ファーム』さん(世田谷区三軒茶屋)
https://sanchafarm.com/

『八百屋 瑞花』さん(新宿区神楽坂)
http://www.suika.me/

『やさいやふうど』さん(大田区南雪谷)
https://ameblo.jp/nom3-yukigaya/

— 橋本さんの梨を使ったお店(2017年)

『ハスキージェラート』さん
http://huskygelato.com/

目黒区自由が丘、品川区戸越に店舗を構え、梨のジェラートを提供。

『ねいろ屋』さん
https://www.facebook.com/neiroya

杉並区にあるラーメン屋で、梨のかき氷を提供。

橋本梨園の橋本さん

よくお酒を飲む橋本さん。
お酒仲間やSNSを通じて知り合うなど、さまざまな業種の方とコラボしています。
多才で積極的にチャレンジしていく姿は、若い梨農家世代として白井市を代表すると言っても過言ではありません。

橋本梨園ホームページでは、インターネット販売も行っています。

*橋本梨園ホームページ
https://hashimoto-nashien.com/

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